胎蔵界大日如来
Dainichi Nyorai / Radiant Heart of the Womb Realm
音を宿す文字。
いのちを宿す光。

音を宿す文字。
いのちを宿す光。
弘法大師空海(774–835)が書いた、梵字「阿(ア)」と「唵(オン)」。金箔加工を施した祈りの文字に、科学写真家レナート・ニルソンが捉えた生命のはじまりの記録を重ねました。
古代の叡智と現代の科学。その出会いを通して、自分自身のいのちと、大いなる宇宙とのつながりを感じるひとときを届けたい。その願いを込めた作品です。
阿と唵の響き
人は問う。
この宇宙はいかにして始まったのかと。
古の叡智は、その問いに静かに微笑みながら
一つの音を差し出しました。
それが、「阿(ア)」という音です。
この音は、すべてのいのちが生まれるはじまりの息吹。すべての存在の根であり、光の源。
すべてがまだ混沌であったころ、そこには音も形もなく、ただ「阿」の響きだけが、深く優しく満ちていたのです。
空海はその音のなかに、宇宙のすべての本質を見出しました。そしてその響きを、大日如来という祈りのかたちに託しました。
大日如来は語ることはありません。
しかしその沈黙の中には
星々の誕生と死、草木のざわめき、母の胎内の鼓動
すべての生命のリズムが響いているのです。
私たちのいのちもまた、
その偉大なる宇宙の振動の中から生まれ、
やがてまた、ひかりへと還っていく旅の途中にあるのでしょう。
そして、もうひとつの音「唵(オン)」
この音は、宇宙の深奥に満ちる聖なる響きの扉を開く「はじまり」の音。
真言や陀羅尼(ダラニ)の冒頭に現れるこの音は、
わたしたちの心の奥をそっとひらき、
魂をやさしく導いてくれる舟のような響きです。
「阿」が宇宙そのものの本質であるならば
「唵」はその本質にふたたび触れるための、祈りの鍵。
この音を口にするとき、私たちは
小さな自分という内なる宇宙をそっと開き、
あたたかく大きな存在と共鳴しはじめるのです。
たとえ今、世界が混沌に包まれ、迷いや苦しみの中にあっても、
「阿」は、あなたの中にいつも在ります。
「唵」は、その存在を呼び覚ます、やさしい声です。
あなたの内にある光は、この宇宙そのものの光。
決して消えることはない、あたたかくたしかなひかりです。
それは、あなたという存在が、この世界に、今ここに生きて在るという、
かけがえのない聖なる証なのです。
Feel&Sense

祈りの空間に、
いのちの光を。
京都文化会議2026にて、世界遺産・仁和寺の通常非公開の奥書院に展示しました。
仁和寺は、宇多天皇が出家後に初代住職となり、祈りを捧げた皇室ゆかりの御寺。代々皇族が門跡を務め、平安・鎌倉期には門跡寺院として最高の格式を誇りました。創建時の金堂供養では、空海の弟子・真然が導師を務めています。
千年を超える祈りの歴史を受け継ぐ空間で、作品と響きが、集う人々と出会いました。
仁和寺での展示記録を読む ↗作品について
- 作品名
- 胎蔵界大日如来
- 制作
- Feel&Sense(橋本昌彦・橋本さやか)
- 制作年
- 2025年
- 梵字原書
- 弘法大師空海(774–835)
- 梵字
- 阿(ア)・唵(オン)
- 生命写真
- レナート・ニルソン
- サイズ
- 縦100cm × 横50cm
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